ハリガネムシ

2007年2月2日 読書
ISBN:4163223401 単行本 吉村 萬壱 文藝春秋 ¥1,200

わたしはどうゆうわけか
エグイ内容の本を好んで読む。
落ちた人間
落ちてゆく人に
興味があるのだろうか。
そんな人々の話を読んで
自分の置かれている状況に安心したいのだろうか。
とにかく
自分の中でくすぶる
ダークなドロドロした部分を刺激される
本を求めてしまう。

実はこの本は二度目になる。
借りてくるまで
その表紙を開くまで
内容だけではなく読んだことすら忘れていた。
読んでいくうちに思い出した。
一度目に読んだときは
この崩壊したグダグダの男と女の世界を
否定することはなかった。
けれど今回は
背中のあたりがむずむずしてくるような
気持ち悪さを感じてしまった。
そう、今のわたしは
ドロドロした沼に片足を突っ込んでいないのだ。
自分をぐちゃぐちゃに壊してしまいたい
衝動に囲まれていないのだ。
黒い影に追いかけられていないのだ。
だから
この本の世界が
哀れでバカに見える。

そしてわたしはふと思う。
こんなグダグダな男に出会わないけれど
いい男にも出会わない。

読み終えてほっとした。
感激はないけれど
このエグさを
わたしは間違いなく体内に持っている。
だから
書いているんだろう。
きっと同じだ。
小説なんてそんなものかもしれない。

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