気づいたらわたしは
彼の隣にいた。
ぐっすり眠る彼の手にそっと触れてみた。
彼は気がつくことなく眠っている。
できるなら
このままずっとこうしていたい。
そんな叶わぬ願いを望んでしまう。
ほんの少しでいい・・・。
そっと彼の手に触れたまま
わたしは彼の隣に体を横たえるとそのまま目を閉じた。
高鳴る心音を鎮めるように
彼の寝息に合わせてリズムをとる。
やがて穏やかなひと時が体を包み込み
わたしを眠りへと誘ってゆく。

指先で感じていたはずの彼の体温を
唇で感じてしまう。
慌てて目を開けた視線の先には
彼の微笑みがあった。
自分が固まってしまっているのはわかっているのに
世界の方が動きを止めてしまったとしか思えないくらい
わたしは自分で自分の体をどうすることもできなでいる。
彼はそんなわたしを見て
また微笑んだ。
そして、優しくわたしの手を取った。

互いの欲望に身を任せるように流れてゆく時間。
けれど心は純粋にときめいている。
触れ合う全てに喜びが弾けてしまう。
快楽に溺れるように
全てを彼に預けてしまう。



そんな彼に出会ったような
そんな恋をしたような
そんな今朝の目覚めだった。

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